東京ヴァンパイア・ファイナンスとラノベの題材
東京ヴァンパイア・ファイナンス（電撃文庫／真藤順丈）
読了。
現代社会においてヴァンパイア・ファイナンスという090金融の経営者万城小夜とその客たちの物語。金利はトレイチ(10日で0.1割）、使い道が面白ければいくらでも貸してもらえるという設定の群像劇
楽しく読むことが出来た。
この本の特筆すべきところは＜090金融＞という題材だと思う。
そもそもこの手の金融モノは、青木雄二先生が切り開いてから脈々と続いているヒットジャンル。若干の萌えスキンをかぶせ、ラノベ調の味付けをすれば面白いものに仕上がるのはある程度妥当なところだと思う。
せっかくだから他の漫画ゴラクとかで連載されている題材をラノベにしてみると結構面白そうな気がする。
・逃亡花
サスペンスはもうありそう。不可解な殺され方をして罪をかぶせられた被害者の娘が裁判所から脱走。類まれなる頭脳で真犯人を探す話とか。サポートするのは彼女に思いを寄せる同級生の男で、その男からの視点で話を描いてみるとか。でも彼女はその同級生のバックアップを素直に喜べない事情があったりとか。
・白竜-LEGEND-
極道モノをラノベにするのは面白そう。渋谷に居を構える黒須組組長黒須久美、彼女はまだ学生だが、生まれ持った人望と力とで黒須組を構築する。その後渋谷の大部分を支配する剛野組四代目組長剛野ミクに対して牙を剥く。いろいろあって剛野組を弱らせた段階で渋谷署の新署長如月(男）が現れる。その如月は久美が小さいときに隣に住んでいたおにいちゃんだった。かつての優しい如月の顔はもうなく、黒須組に対して執拗な嫌がらせを行ってきた。だがそれは剛野組の差し金であった。
・SとM
戦慄のエロティック愛憎バトル！という柱を元に、主人公を取り合う二人の女の話。主人公のいとこに当たる年上の女が主人公を監禁して手篭めにしようとする。しかしそれを主人公が望んでいないことをもう一人の女（同級生）は知っており、監禁場所を探す。いとこの女は監禁の様子をネット動画で配信。些細なヒントを元に同級生は主人公の監禁場所を突き止める。物語は最終局面に・・・
・外道坊＆マーダーライセンス牙
人の前世、取り付いてる悪霊を見て払うことが出来る少年、解堂峰介が主人公。悪霊に取り付かれて犯罪を行う奴を探し、裁きを加える。犯罪は万引きから無差別殺人まで千差万別。悪霊を祓うことで改心させる。派遣問題とかを斬ってみたりする。だが解堂峰介はツンデレでいつも「悪霊がかわいそうだからやってるだけ。あなたのためにしたんじゃないのよ」とかいう
・ハイアーグラウンド
舞台は女子高。廃部寸前の陸上部のコーチにかつての伝説の少女がやってくる。部員集めからじっくりと始める。ある程度軌道にのったところで新入部員として真中が入ってくるが、真中は実は男だが、男であることを隠して伝説の少女を守ろうとする。伝説の少女の周りに続々と起こる奇怪な事件。果たして嫌がらせか天災か・・・。
・喰いしん坊
初めて大食いチャレンジをしている大原万太郎の前に現れたのはハンター常寺、彼女は万太郎の師匠となり、万太郎の大食いの腕を上げるべく特訓を施す。だが常にツンであり激しい特訓を強要する。その特訓の甲斐あって実力が付いてきた万太郎に対して勝負を挑む謎の美少女。彼女はハンター常寺のライバルであるOKFFのメンバーだった。ドンブリ食いの安と称する彼女の必殺技は、小龍包を大量にドンブリにあけ、水で流し込むという卑怯なものであった。大量の彼女との小龍包大食い対決に破れた万太郎は武者修行の旅に出る・・・。ずんだもちをいっぱい食べる青葉なんとか子とかが現れたりするんじゃないかと。
・酒のほそ道
数ページのレストランとか飯屋の風景を紹介するエッセイみたいな感じの作品。いろいろと蘊蓄をたれたがる先輩とかがいたり、同好の士がいっぱいいたり、オススメのものを食べ過ぎてちょっと飽きてみたりする小説
・いのち屋エンマ
天才的な頭脳と確かな知識で患者を治してきた外科医、円馬ひかる。ある日彼女は何者かの陰謀にはめられ、医師免許を剥奪されてしまう。しかし彼女には大量の資金が必要であった。なぜ彼女に大量の資金が必要かはわからないが、その資金を集めるため、彼女は闇医者を始めた。
・江戸前の旬
人情を混ぜる形で寿司職人の話を作ればいけるんじゃないか。特に寿司職人は女性には向いてないといわれ、門戸が堅いところではあるから、そこを踏まえて作ると面白そう。
・ミナミの帝王
トイチ金融を商う主人公萬田銀。彼女は非常に人情に厚く、頼ってきた人を見捨てることはしない。金貸しは今はもう余技のようなものであるが、趣味でもあるため続けている。大体友人とか債務者がひどい目にあって困るのが筋。いろいろな支払いをしてお金が厳しくなり、「銀ちゃん。大変悪いんだけどお金返せそうにないよ」と相談を受けると「そのお金って返す必要のないお金よっ。」といい、裏で動き全てを解決する。「銀ちゃん、私のためにそんなにしてくれていいの？」と債務者がいうと、「あんたのためにやってるんじゃないんだからねっ。私の貸したお金のためにやってるのよ」といったりする。
